ご家族が所有している家を遺産相続により相続する場合があるかもしれません。
ご自分でご自宅を既にお持ちでいたり、生活拠点が違う家の遺産相続である場合は
遺産相続した家を売却することを検討される方もいらっしゃるかもしれません。
遺産相続~売却をするまではどのようなステップがあるのでしょうか。
全体の流れを見ていきましょう。
相続した家を売却するまでの流れ、5ステップ
[STEP1]遺産分割協議
[STEP2]相続登記
[STEP3]相続不動産の売却
[STEP4]売却代金を分ける
[STEP5]納税をする
[STEP1]遺産分割協議
-相続が発生する-
被相続人の死亡により、相続が発生します。
お亡くなりになられた方が「被相続人」、
遺産を相続するご家族の方が「相続人」となります。
葬儀、四十九日後を目安に「遺産分割協議」で被相続人の財産を分ける話し合いをすることが多いです。
-遺産分割協議を行う-
被相続人が遺言書を残していた場合は、原則その内容に従うことになります。
被相続人の遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、
誰がどの財産を相続するかを決めます。その際に、家の相続人も協議で決められ、
相続人が複数いる場合、遺産分割協議が終了するまでの間の相続財産は、相続人全員の共有財産となります。
[STEP2]相続登記
-「相続登記を行う」-
相続した不動産を「売る」「売らない」にかかわらず、
不動産の所有権を相続人に変更するために法務局に申請します。
一般的に司法書士に依頼することが多いです。
[STEP3]相続不動産の売却
相続登記が済んだら、不動産業者に売却の依頼をします。
まずは対象の物件の査定をしてもらいます。
査定は一つの業者に絞らず複数の業者に依頼すると良いでしょう。
依頼する不動産会社を決めたら、不動産会社が自社買取や仲介等で買い手を提案し、
内容に合意しましたら、売買契約の締結となります。
買い手より売買代金を受け取り、支払いが完了しましたら、
同日、物件の引き渡しとなります。
[STEP4]売却代金を分ける
物件を売却し、代金を受け取りましたら、
[STEP1]で作成した遺産相続分割協議書をもとに相続人で代金を分けます。
(相続人が1人の場合は不要です)
[STEP5]納税をする
相続から不動産売却までにかかる税金
(不動産相続時)
①「相続税」-相続した財産の額にかかる税金です。
相続税は、預貯金や不動産など相続した財産の総額に応じて課税されます。
遺産の課税価格が、相続税の基礎控除を超える場合にのみ発生します。
基礎控除とは、税金がかからない金額の範囲のことです。
基礎控除額は、次のように計算します。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
被相続人が生前住んでいた場所の税務署に申告し、相続税を金融機関で納付します。
延納や物納を選ぶ場合も、相続税の申告期限までに手続きする必要があります。
②「登録免許税」-相続した不動産の名義変更時にかかる税金です。
相続した土地や建物などの名義変更を行う手続き「相続登記」をする際に支払います。
土地と建物を相続する場合には、両方に不動産価格の0.4%の税率がかかります。
(登録免許税の計算方法)
税額=課税標準(課税対象の額)×税率
(売却時)
➂「印紙税」-売買契約書・領収書などにかかる税金です。
印紙税額は契約金額に応じて設定されています。
必要な税額分の印紙を売買契約書に貼り、消印することで納税します。
印紙税の額については、下記のURLより確認いただけます。
(売却後)
④「譲渡所得税」-不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税される所得税です。譲渡所得はその年の確定申告にて申告します。
譲渡所得は下記の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税の税率は不動産の所有期間によって変わります。所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」となり、
税率が30%です。5年以上なら「長期譲渡所得」となり、税率は15%と低くなります。
不動産の譲渡所得にかかる所得税と住民税(地方税)は、事業所得や給与所得と分離して計算することから、「分離課税」と呼ばれています。
⑤「住民税」-譲渡所得の金額に応じて住民税がかかってきます。
住民税の税率は譲渡所得税と同様に不動産の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下、「短期譲渡所得」では、税率は9%です。
5年以上なら「長期譲渡所得」、税率は5%ととなります。
⑥「復興特別所得税」-東日本大震災から復興に必要な財源の確保のための税金です。
令和19年(2037年)まで所得税に税率2.1%が加算されます。
相続不動産売却時の税金を節税する方法4選
[1]相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続により取得した土地や建物を一定期間内に売却した際に、売却した財産にかかった相続税を、
取得費に含めることができる制度です。
譲渡所得から差し引ける金額が増えるので、所得税の節税につながります。
取得費加算の特例の適用を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。
●相続または遺贈により財産を取得した人であること
●財産を取得した人に相続税が課税されていること
●財産を相続した日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却していること
[2]居住用の家を売却した場合の3,000万円控除
3,000万円特別控除は、不動産を売却した時に生じる利益にかかる税金(譲渡取得税)を軽減させる特例制度です。
不動産を売却した際に出た利益(譲渡所得)に対し、3,000万円までは課税対象から除外されます。
ただし売却する家が居住用であることが条件となります。
[3]10年超所有の家に対する軽減税率の特例
家を10年以上所有していた場合、税金が安くなる制度です。
「3,000万円特別控除」の特例と併用ができるため、譲渡所得が3,000万円の特別控除を超える場合は、
以下のような税率になります。
6,000万円以下 (所得税) 10% (住民税) 4%
6,000万円超の部分 (所得税) 15% (住民税) 5%
[4]相続した空き家を売却した場合の3,000万円控除
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を利用した場合、
譲渡所得の金額から3,000万円を控除することができます。
特例を受けるための要件があります。
●被相続人が住んでいた家または家と土地を相続し、2016年4月1日から2023年12月31日までの間に売却した
●相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
●売却代金が1億円以下であること
●1981年5月31日以前に建築されたこと
●一定の耐震基準を満たしていること
●相続から譲渡までの間に、事業や貸付や居住いずれの用途でも用いられていないこと
おわりに
これまで遺産相続による、家の相続~売却までの流れをみてきました。
相続人が1人や相続する家に住む人がいない場合等は家を売却し、
相続人が複数いる場合は遺産分割協議で決めた割合で売却金額を分ければ、特に遺産相続でもめることもないかと思います。
しかし、相続人が複数いて、その内の誰かが相続した家に住み続けたい場合なども
あるかもしれません。
その場合は、「リースバック」がおすすめです。
相続した家を一旦売却して、売却金額を相続人で分け、
住み続けたい方は賃貸契約で住み続けることができます。
ご自身の状況に合わせて、検討されてみてはいかがでしょうか。
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